2011年12月17日土曜日

RHEL6.2 気になるアップデート抜粋


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先日リリースされたRHEL6.2の中でも気になったアップデートを抜粋

http://docs.redhat.com/docs/ja-JP/Red_Hat_Enterprise_Linux/6/html/6.2_Release_Notes/index.html


FCoE (ファイバーチャネルオーバーイーサネット) ターゲットモードに対するサポート

Red Hat Enterprise Linux 6.2 には、テクノロジープレビュー として FCoE ターゲットモードに対するサポートが含まれています。このカーネル機能は、targetadmin を使って設定でき、fcoe-target-utils パッケージにより提供されます。FCoE は、DCB (データセンターブリッジング) をサポートするネットワーク上で使用されるよう設計されています。詳細については、dcbtool(8) と targetadmin(8) の man ページに記載されています。


OOM killer の改善

改善されたアップストリームの OOM (Out of Memory) killer の実装が、Red Hat Enterprise Linux 6.2 にバックポートされました。改良点は以下のとおりです。

・OOM killer は終了しようとしているプロセスの方を選択します。
・OOM kill プロセスは、選択されたプロセスの子も kill します。
・ヒューリスティックが追加され、forkbomb プロセスを kill します。

oom_score_adj /proc 調整可能なパラメーターは、各プロセスの oom_score_adj 変数に保管されている値を追加し、/proc で調整可能です。これにより、ユーザースペースで OOM killer がそれぞれのプロセスを選択する度合いを調整することができます。-1000 に設定すると OOM kill を全体的に無効にし、+1000


SELinux netfilter パケットドロップ

以前は、SELinux netfilter フックがパケットをドロップすると NF_DROP を返していました。Red Hat Enterprise Linux 6.2 では、netfilter フックのドロップは永続かつ致命的なエラーとして示され、一時的なものではありません。そうすることでエラーはスタックにまで戻され、一部ではアプリケーションは問題があった迅速な対話を可能にします。


SSH 経由で kdump を使用するデフォルトの方法

Red Hat Enterprise Linux 6 では、SSH 経由でコアを kdump するためのデフォルトの方法 core_collector が、scp から makedumpfile に変更しました。これは、ネットワークリンクでコピーする場合にコアファイルのサイズを縮小するのに役立ち、高速なコピーが可能になります。
旧のフルサイズの vmcore コアファイルが必要な場合は、 /etc/kdump.conf ファイルで以下を指定します。

core_collector /usr/bin/scp


LVM RAID のサポート

Red Hat Enterprise Linux 6.2 では、MD の RAID 機能が テクノロジープレビュー として LVM に追加されました。利用可能な基本機能は、RAID 論理ボリュームの作成、表示、名前変更、削除です。自動化されたフォールトトレランスはまだ利用できません。

--type 引数を指定することで、RAID 論理ボリュームを作成できます。以下に数例を示します。

RAID1 アレイ (LVM の mirror セグメントタイプとは異なる RAID1 の実装) を作成します。
~]# lvcreate --type raid1 -m 1 -L 1G -n my_lv my_vg

RAID5 アレイ (3 つのストライプ + 1 つの暗黙のパリティ) を作成します。
~]# lvcreate --type raid5 -i 3 -L 1G -n my_lv my_vg

RAID6 アレイ (3 つのストライプ + 2 つの暗黙のパリティ) を作成します。
~]# lvcreate --type raid6 -i 3 -L 1G -n my_lv my_vg


RDMA (iSER) イニシエーターとターゲットの iSCSI 拡張

iSER イニシエーターとターゲットは完全にサポートされるようになりました。Red Hat Enterprise Linux は、InfiniBand を使用する実稼働環境、高スループットと低レイテンシが重要な要件となる環境の iSCSI イニシエーターとストレージサーバーとして機能できます。


XFS スケーラビリティ

現在 XFS ファイルシステムは Red Hat Enterprise Linux 6.2 でサポートされており、単一ホストの非常に大規模なファイルおよびファイルシステムに適合します。このファイルシステムによる利点としては、統合バックアップとリストア、直接 I/O、ファイルシステムのオンラインリサイズがあります。

XFS 実装では、メタデータの高いワークロードをより適切に処理するよう改善されました。このタイプのワークロードの一例としては、ディレクトリにある数千の小さなファイルへのアクセスがあげられます。この機能拡張が行われる前は、メタデータ処理によりボトルネックが発生し、パフォーマンスが低下する原因となっていました。この問題に対処するため、メタデータのロギングを遅延するオプションが追加され、パフォーマンスが大幅に改善しました。こうしてメタデータのロギングを遅くした結果、XFS パフォーマンスはワークロードの処理に関しては ext4 と同程度になっています。デフォルトのマウントオプションも更新され、遅延したロギングを使用することになりました。


Parallel NFS

Parallel NFS (pNFS) は NFS 4.1 スタンダードの一部で、クライアントが同時に直接ストレージデバイスにアクセスすることができます。pNFS アーキテクチャは、今日デプロイされている NFS サーバーに関連するスケーラビリティおよびパフォーマンスの課題を解決します。

pNFS は、ファイル、オブジェクト、ブロックという 3 つの異なるストレージプロトコルまたはレイアウトに対応します。Red Hat Enterprise Linux 6.2 NFS クライアントはファイルのレイアウトプロトコルに対応します。
pNFS 機能を自動的に有効にするには、次の行を含む /etc/modprobe.d/dist-nfsv41.conf ファイルを作成して、システムをリブートします。

alias nfs-layouttype4-1 nfs_layout_nfsv41_files

-o minorversion=1 マウントオプションが指定されると、サーバーは pNFS が有効になり、pNFS クライアントコードは自動的に有効になります。

CIFS での非同期書き込み

CIFS (共通インターネットファイルシステム) プロトコルにより、別のオペレーティングシステム上のリモートファイルにアクセスする統一的な方法を提供します。従来、CIFS クライアントは同期書き込みのみを許可していたため、クライアントプロセスは、書き込みが正しく完了するまでは制御を戻しませんでした。これでは、完了までに長時間かかる大規模なトランザクションの場合だと、パフォーマンスが低下する原因になる場合があります。CIFS クライアントでは、順次書き込みを待つ必要なく、同時にデータを書き込めるように更新されました。この変更により、パフォーマンスが最大で 200 % 改善します。


IPSet

カーネルの IPSet 機能が追加され、複数の IP アドレスまたはポート番号を格納するようになりました。また、それらを iptables を通じてコレクションと照合します。


初期 TCP 受信ウィンドウのデフォルト

初期 TCP 受信ウィンドウのデフォルトは 4 kB から 15 kB に増加しました。これによる利点は、どのデータ (15 kB > ペイロード > 4 kB) も初期ウィンドウに適合するようになった点です。4 kB 設定 (IW3) では、4 kB を越えるペイロードは複数の転送に分割される必要があります。


初期 TCP 輻輳ウィンドウのデフォルト

Red Hat Enterprise Linux 6.2 では、初期 TCP 輻輳ウィンドウのデフォルトは、RFC 5681 に従い 10 に設定されています。加えて、TCP および CCID-2 に共通の初期ウィンドウコードが統合されました。


GFS 2 の Clustered Samba

クラスタ環境における Samba のサポートは、Red Hat Enterprise Linux 6.2 で完全に対応するようになりました。Samba クラスタリングは、すべてのノードで利用できる共有のクラスタ化ファイルシステムに依存しています。Red Hat Enterprise Linux のコンテキストでは、Samba クラスタリングはネイティブの共有ストレージファイルシステムである GFS2 と機能するよう設定されています。

Clustered Samba (具体的には CTDB) により、メタデータはクラスタ内の複数の物理ホストに適用することができます。ノード障害発生時には、CTDB は自動的にノード固有のデータベースを復元、修復します。また、CTDB にはノードの監視やフェールオーバーなどの高可用性機能も備わっています。


High Availability アドオンの XFS

ファイルシステムリソースとして Red Hat Enterprise Linux 6.2 High Availability アドオンと併せた XFS の使用は、完全にサポートされるようになりました。


VMWare に対する HA サポート

VMWare ベースのゲスト内で実行するアプリケーションは、高可用性用に設定できるようになりました。また、環境内の GFS2 共有ストレージファイルシステムの使用も完全にサポートしています。必要な場合に、ゲストをフェンスできる新しい SOAP ベースのフェンスエージェントが追加されました。


ライブスナップショット (Live Snapshot)

Red Hat Enterprise Linux 6.2 では、テクノロジープレビューとして Live Snapshot 機能が導入されています。Live Snapshot 機能では、ハードディスク上に仮想マシンイメージの自動バックアップを提供して、外部の qcow2 イメージを使用して各ドライブごとの仮想ディスクのスナップショットを透過的に提供します。マルチディスクのライブスナップショットの作成は、ディスクがあるだけ多くのスナップショットを取る前に qemu を一時停止することにより、データの整合性を維持するのに役立ちます。そのため、マルチディスクのスナップショットは同じ時点からのデータを含むすべてのディスクを保有します。

ファイルシステムの一貫性に限りがあることを認識しておくことは重要です。ただし、スナップショットイメージを再利用すると、クラッシュコンシステントとなります。ユーザーは、ファイルシステムチェック (fsck) の実行、ジャーナルエントリの再生を行う必要があります。これは電源コードを抜いた後にブートすることに似ています。

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